2024年度もSセメスターのみで先進科学Iαを開講します。
内容は下記の2019~2023年度S/Aセメスターの授業と同様の予定ですが、一部履修生の希望を聞いて決定します。
 
授業についてはシラバス(オンライン)参照のこと

 

以下、過去ログ。

2021年度はSセメスターのみで先進科学Iαを開講します。
内容は下記の2020年度・2019年度S/Aセメスターの授業と同様の予定ですが、一部履修生の希望を聞いて決定します。
2021年度Sセメスターは新型コロナウェルスの影響でオンラインでの開講です。
 

2019年度

先進科学 Iα (アドバンスト理科) Aセメスター 水曜5限
場所:初回ガイダンス1225教室 それ以降は情報教育棟E38室

授業用のファイルです。ファイル

先進科学 Iα (アドバンスト理科) Sセメスター 月曜5限
場所:初回ガイダンス1225教室 それ以降は情報教育棟E38室

5月2日の授業は休講です。代わりにレポート課題を出しましたので、5月13日の授業までに提出してください。

授業用のファイルです。ファイル


2019年度S/Aセメスターに先進科学Iαを開講します。

最初の授業でガイダンスを行いますが、そのときに簡単な小テストとアンケートを実施します。その結果と内容により、20人程度を選抜します。 Aセメスターでは、再度同じ講義を開講します。Sセメスターの選抜で受講できなかった人も、Aセメスターのガイダンスにて再度小テストを受けられます。 2回目の選抜試験の場合、優先して選抜します。

講義・演習内容:
(皆さんの目に止まっているかは分からないが、)2019年は量子コンピュータのニュースが国内外に飛び交う年である。 IBMやGoogleからは、53量子ビットからなる量子コンピュータの発表や、スーパーコンピュータでもその動作をシミュレートできないような複雑性を持った量子コンピュータを開発したというニュースが飛び出した。 また、主に米国において、量子コンピュータを開発するいくつものベンチャー企業が立ち上がっている。 一方で、量子コンピュータ実機を作る研究だけでなく、量子コンピュータをどう使うかということに焦点を当てた研究開発もなされるようになってきた。 日本国内でも、東大大学院の現役の学生などからなるQunaSysという会社も立ち上げられ、三菱ケミカルと量子コンピュータを活用した共同研究契約が開始されたと発表された。 では、そもそも量子コンピュータとはいったいどんなものなのだろうか?また、もうすでに量子コンピュータは完成していると言って良いのだろうか? 本授業では、量子コンピュータが扱う情報の単位である量子ビットの導入から初めて、その量子的性質とはどのようなものか、また、いかにその量子ビットが物理的に実現されてきたかを学ぶ。 とはいえ、我々の生活のスケールでは量子力学の性質を肌で感じることは難しい。 そこで、本授業では、「量子コンピュータの遊び方」を教えたいと思っている。そのために、まずは、IBM Qが公開しているクラウド量子コンピュータを利用し、量子力学の実験を量子コンピュータによって行う。 IBM Qはpythonによって量子回路を記述し、クラウドを通じてIBMの持つ量子コンピュータにタスクを投げて利用する。 我々は、教室にいながら、家にいながら、量子コンピュータを扱うことができるのである。そのようにして「量子コンピュータで遊ぶ」ことによって、量子力学の性質を肌で感じて欲しい。
量子コンピュータを用いた演習の中では、量子テレポーテーションと呼ばれる量子力学実験や、量子探索アルゴリズムの実装もする予定である。 制限された現在の量子コンピュータの性能の中では、なかなかうまく動かなかったり、期待された(答えが簡単に計算できるような簡単な問題ですら)答えが得られなかったりすると思うが、回路やコードの工夫等を通じた試行錯誤が大事だと思う。 量子コンピュータはほとんどの人が触ったことのないものだろうし、それ自身で楽しむことができると思うが、加えて何か新しいことに取り組む際のこういった試行錯誤を通じて楽しんでもらいたい。
授業の後半では、将来の量子コンピュータに必要な性能や「量子誤り訂正」と呼ばれるものの概念について議論する。 量子コンピュータ研究の実際を把握し、その道のりにはまだまだ大きな課題があることを説明する。 また、コンピュータは物理的な実在のものであるため、その実現や性能向上には、実際の量子系への理解は不可避である。 量子力学を学ぶ前の前期課程には難しい内容になると思うが、近年著しい発展を遂げている超伝導量子回路について簡単な講義を行う。 授業の最後には、実際の超伝導量子回路を開発している実験室を見学し、そのシステムや規模について学ぶ。